大阪人の東京子育て

おもしろいこと言えない大阪出身者の子育て備忘録

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

ベストセラー、よう知らんと読んだ感想。

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内容はイギリス人(正確に言うとアイルランド出身)と結婚した日本人女性が子どもを「元・底辺中学校」に通わせて起こったエピソードや考えたことなど。

知らない世界の話で面白かったし、この子どもが自分の頭で考えてるのすごいなと思ったんだけど、にしても(悪い意味ではなく)これがベストセラーになったんは何でなんやろうというのが最初に読んだあと真っ先に浮かんだことだった。

グローバルだのなんだのスマホ1つで何でも知れるような気になってても、アマゾンの奥地でもなくイギリス(全体じゃないけど)の実際の生活がこんなんって私だけでなくみんな知らんくてびっくりしたから?

冒頭、品行方正なカトリックの小学校に通ってる息子と、中学校見学に行く話から始まる。選択肢は2つ。カトリック中学にそのまま進むか、白人労働者階級の子が多く通う「元・底辺中学校」か。息子は後者を選ぶ。

【引用】わたしは「あの学校に行け」と息子に言ったことは一度もなかった。(中略)わたしがたいへん気に入ってしまったことは明らかで、それが彼の決断に影響を与えたのは間違いない、と配偶者は言う。

この前書いた「子どもって親が言わなくても態度とかで察するよね」、そのまんまじゃないかと初っ端からぎょっとした。

後半では陰気に硬直している進学校より、元・底辺中でよかったというようなことが書かれてるんだけど、移民も貧乏もいて差別もエグイ。

そもそも学校自体が私立(上流)、公立カトリック(ミドルクラス)、底辺とランク付けされてるようで、格差がエグイ。

私が海外の生の日常を知るのはフランス在住の友人からぐらいしかないんだけど、前に「フランスも学歴社会だからね」と言ってて「うちの子はもうあかんから他でがんばるよう言うてる」そうで、そのニュアンスに学歴というより「階級」ってものを初めて感じたんですよね。超えられない壁。

日本でも子どもを食べさせるにも困る生活の人がいるような「子どもの貧困」をよく見聞きするようになってきてると感じるけど、階級とまでいうと違和感がある。

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もうひとつ、若い頃英語圏に旅行したりした時、この人らこんなテンション高く大げさにリアクションしててしんどくないんかな、ていうかこれ演技なんちゃうん、実は日本人なんかよりずっとどう思われるか気にしてるんちゃうん、めちゃくちゃ気つかってるんちゃうんと思ってたんやけど、差別に当たらないように考えてモノ言って、でも地雷踏んでしまって、とか気つかうんはほんまにそうやったんやなと思った。

人種・性指向・その他いろいろ(家族形態とか)多様性は正直大変。

ベストセラーの理由がわからなかったのでもう一度読んだんですが、日本に外国人(移民)が増えて、今後も移民を受け入れないとやっていけないという話や多様性という言葉をよく見聞きするようになったのと無関係ではないのかな。そういうタイミングでこの本が実話ならではのリアリティを突きつけたのかな。

それと道徳の本でもあると思った。実際のケースでこういう時どう考えますか、共感する力が必要です、っていう。

ただ、中学生が歩いてたら差別用語を叫ばれる、ドラッグビジネスに巻き込まれる、(特に女子が)行方不明になるなど、日本はこんな風になってほしくない。1億総中流ははるか昔のことのようやけど、治安大事。平和大事。とも思ったのでした。

この私の感想は内容のごく一部と自分のごく個人的な体験を結びつけてるだけで、この本は色んな読み方、感想があると思えるような本なので、これまたぜひ読んでみてほしいです。

ほんで散々イギリスって書いてきたけど、アイデンティティを表すのにイングリッシュは排他的で、ブリティッシュすら「ヤバい表現」になり、ヨーロピアンが正しい呼び名と言われるようになってるらしい。

多様性て大変。

↓↓ちょっと、というかけっこう読めます。

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↓↓9月16日に2が出るそう