大阪人の東京子育て

おもしろいこと言えない大阪出身者の子育て備忘録

『自律する子の育て方』

「公立で宿題やらテストやらなくしたとこがある」ということだけは聞いたことがあったのですが、またゆとり回帰か?と思っただけで内容は全く知りませんでした。その元公立中学校長と神経科学の専門家の共著。親、先生、保育者の立場にある人は全員読んだ方がいい。自分が気になったところだけメモ。

麹町中学の教育目標は・自分で考えて判断し行動する自律・対立やジレンマを克服する力・創造の3つ。最も重要なのは「当事者意識」だが日本人は少ない。原因は子どもに手をかけすぎるから。

朝起きない子を親が起こす。遅刻したら親のせい。同様に先生のせいで勉強ができないなど自律できない子は人のせいにしがちで、自分のことが嫌い。

学校では手段が目的化し、自律を阻むことがまかり通っている。

本著の2大テーマは「心理的安全性」と「メタ認知」。

1.心理的安全性

脳の神経回路は使わないとなくなり、よく使うと太くなる=習慣=エネルギー効率が良い。逆に普段と違うことはエネルギーをめちゃ使う。脳の癖を変えるには意識的に辛抱強くやるしかない。

脳はネガティブが作動しやすい。人の欠点や弱点を見抜く、ネガティブな記憶を引き出す。人は粗探ししてしまい、怒られたことを覚えてるもんなのである。

心理的に安全だと前頭前皮質が働くが、ストレス(平時とのズレで生じる)で心理的危険状態だと、粗探し機能低下により作業ミスや推論できなくなったり、集中できなくなったり、理性がゆるんで暴言や不適切行動、感情抑制ができなかったりする。

幼少期はストレスを受ければ受けるほど耐性がつくのとは逆で、ストレスに反応しやすくなり、攻撃・逃亡モードに変わりやすくなる。

心理的危険状態では何を言っても頭に残らない=怒鳴ったりダメ出しし続けるのはムダ。怒られた記憶だけが残る。大人の伝え方を再考。

大人も心理的危険状態かも。過剰なストレスは交感神経を優位にするが、食べることは副交感神経を優位にする。

自己肯定感がストレス耐性を上げる。そのためには否定されない環境。

新しいものを拒絶ばかりしていると不安と不満が増大する。挑戦した、失敗しても責められなかった・学べた、工夫したらなんとかなった体験を繰り返すことが、新しいことへの期待感に変わっていく。

2.子どもが安心できる環境をつくる

「失敗しても大丈夫」心理的安全状態を自らつくるのが得意な脳を育む

自己決定を促す3つの言葉「どうしたの?」「君はどうしたいの?」「何を支援してほしいの?」

平等に叱る必要はない。

大人にもできないことは求めない。お題目だけでなく技術・手段も教えないと子どもにはストレスなだけ。(例:みんなと仲良くしなさい)

大人も完璧な人間を演じない、目指さない。失敗してもいいと言うだけでなく、親の失敗・試行錯誤を見せる。

比較しない、求められてないサービスを与えない(余計なこと言わない)、追い込まない。

結果でなくプロセスを褒める。思春期に入ると真っ向からより第三者を介して褒めると受け入れやすい。

トラブルは起こるものだ。手を貸したくなるが、ぐっとこらえて本人がどうするか。完全に突き放すのでなく、セーフティーネットになる。

3.メタ認知

とは「自己を俯瞰的に捉え、自己について学ぶ機能」

複数の定点から客観的に見る=俯瞰。自分と向き合う習慣がない人ほど他責になる。

内省は脳の負荷が大きく意識的にやる必要があるが、スマホにより自己と向き合う時間は減った。少なくなると親や先生、SNSなど外部評価に偏ることになり、他人の評価が唯一の自分の情報になることも。

自己決定を繰り返す、自分について言語化する機会を増やす、他人との比較でなく自分の成長に意識を向ける。

これらは大人も。本を読んで頭に入ってるだけでは実践できない。今までの脳の回路を変更するためには心理的安全状態にある時に繰り返し実践する。例:今まで叱ってた場面で、どうしたの?と声をかけられるようになるには、意識的に繰り返す。

「幸せ(ハッピー)」は一過性の反応、「幸せな状態(ウェルビーイング)」と違う。幸せはどこかに求めるものでなく、自分の中の幸せと能動的に向き合い続ける(メタ認知する)ことで、幸せな状態=ウェルビーイングを実現でき、自分の人生あながち悪いものじゃないと認識できるようになる。

そのためにはその日に起きた嬉しかったことを子どもに尋ねるのが効果抜群。聞き手はしての言葉をそのまま受け止める。

4.子どものメタ認知を鍛える方法

脳は本来がんばるようにできていない。精神論以外で考える。

自分で課題に気づき、自分なりに解決策を考えることを徹底している。大人は手助けはしても「自分ごと」なので最後は自分で決める。乗り越えた体験は一生使える武器。

メタ認知能力は自分を俯瞰的に見つめるが、その際に「反省しない」「自分を責めない」。親は「子どもを責めない」「否定しない」。

常識をされてきたことを上書きする必要がある。人間はデコボコ、失敗OK、がんばれないのが普通など。

子どもたちが自分と向き合う機会を増やす方法は、結果でなくプロセスに意識が向くよう仕向けること。プロセスの質を求めるように変わってくる。

1%を褒める。先に褒めてしまうとそのようになったりする。

子どもの気になるところは親自身が気にしてることだったりする。それに気づけると感情コントロールがしやすくなる。

親は自分の考えの押しつけをやめ、子どもへの声がけ自体がメタ認知のトレーニングになる。

自己コントロールのための発想の転換、「最上位目的に立ち返る」「自分の理想を他人に押し付けない、人間はみな発展途上」

わかったけどできるだろうか、、と思っても、反省や自己否定は不要。

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巻末特典:メタ認知ワーク

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メモなのに長文に。これでもだいぶ端折ってる。自分で決めさせる、怒鳴らない、プロセスが大事など色んなとこで聞くことが納得しやすく書かれてたと思う。

先生は仕事やからそればっかりしといたらええけどさ~とかイヤイヤに通用するんかいなとか言いそうにもなるんやけど、そんな不毛なこと言うてるよりやってみた方がええよな。

読んで損なしだと思います。