大阪人の東京子育て

おもしろいこと言えない大阪出身者の子育て備忘録

内藤礼「生まれておいで 生きておいで」

東京国立博物館(トーハク)で開催されていた内藤礼さんの展覧会「生まれておいで 生きておいで」、明日で終わるという日に駆け込みで行ってきました。

私が初めて内藤礼さんを知ったのは直島の家プロジェクト。一人ずつ古い家に入って空間を感じる的な。これに選ばれてる時点でもう既に人気アーティストだったんだと思うんだけど、私は正直ようわからんかった。

次は坂倉準三設計の神奈川県立近代美術館(旧カマキン)を見に行った時。「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」という展覧会が行われていた。(2009年)

ここで衝撃を受けたんですね。展覧会というかインスタレーションなので空間なんですけど、漫画雑誌のりぼんを読んでた当時に帰ったような感覚で、小っ恥ずかしいけど素直だったあの頃、みたいな。この感覚を大人になっても持っててしかも表現できるってすごいと思った。

これ男の人はどう捉えるんだろう?と当時評論を読み漁ったら、こんなもんアートじゃないと書いてる専門家の年配男性がいて、そらわからんわなと思った記憶がある。

この次は直島と同じく瀬戸内海にある豊島美術館

そもそもは西沢立衛さんの設計なので見に行こうと思ったんですが、内藤さんのアートと一体化していて、ずっといてたいと思わせる最高傑作だった。

年表を見ていて、2014年庭園美術館リニューアル記念の展覧会も行ったのを思い出した。人が多かったからか、個人的にピンとこない作品の人型が多用されていたからか印象に残らず。

この頃、資生堂ギャラリーのメンバーに選ばれておられたので銀座へ見に行ったりもした。

2018年有給を取って特急ひたちに飛び乗って、水戸芸術館で行われた「明るい地上には あなたの姿が見える」へ。

こちらも天気が悪かったからか、期待しすぎたのか特段印象なし。

この後の大規模展覧会は2020年の金沢21世紀美術館であったけど、こいとがまだ1歳にもなってなくて行けず。

2022年に最初に感銘を受けた「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」の2022年バージョンも葉山で行われてたようだけど、行けず。

そして今回、満を持して。f:id:cornote:20240925131226j:imageトーハクでってすごいですよね。

3つの部屋に分かれてて、入れる人数も制限されてました。

最初の部屋に入った途端、空間に包まれてあーこれだーとなった。内藤さんは「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマにされてるそうなんだけど、祝福されてた。まったくもって私の勝手な受け取り方でしかないけど。

更におこがましいんだけど、2009年最初に見た時はりぼん的なところから最後に小さく「おいで」と書かれたコースター状の展示までで女性の一生を感じたけど、今回は全人類、今も昔も全部を包括してるように感じた。スケールがでかくなってた。

若かりし頃、吉本ばななの『キッチン』を初めて読んだ時、こういう感覚を言語化できるのすごいし、自分しかわかり得ないと思うようなこの感覚を書いたものが大ベストセラーだなんて、わかりあえる人が大勢いるってことやなと思いましたが、内藤礼さんの展覧会にも同じことを思います。

今回の展覧会はエルメスとの共同企画だそうで、銀座のエルメスの方はまだやってます。レンゾ・ピアノ設計の印象的な建物。残念ながら今まで用事がなくて入ったことがなかったけど笑 ずっと公園だった隣のソニービルはどうなってるのかな。こっちも行かねば。